バンブルビー映画が持つ時系列の特殊な位置づけとは
2018年公開の映画『バンブルビー』は、トランスフォーマー映画シリーズにおいて非常に特殊な時系列的位置を占めています。舞台は1987年で、これは実写シリーズの中で最も古い地球での物語。
しかし単純な前日譚というだけでなく、マイケル・ベイ監督による従来のシリーズとの関係性について様々な議論を呼んでいる作品でもあります。
この記事で学べること
- バンブルビーは時系列上1987年が舞台で、サムと出会う20年前の物語である
- プロデューサーは「リブートではなくスピンオフ」と明言し続編構想も存在する
- 最後の騎士王での第二次世界大戦参戦設定と明確に矛盾している
- ビースト覚醒(1994年)はバンブルビーの7年後を描いた直接的続編
- 現在3本の新作脚本が進行中でマイケル・ベイ監督復帰版も含まれる
特に、従来のマイケル・ベイ監督作品との矛盾点や、リブート説とスピンオフ説の対立など、ファンの間でも意見が分かれる要素が多く含まれています。
1987年という時代設定が持つ意味と重要性
『バンブルビー』の物語は1987年のカリフォルニアを舞台に展開されます。これは2007年公開の第1作『トランスフォーマー』でサム・ウィトウィッキーとバンブルビーが出会うちょうど20年前にあたります。
この時代設定により、バンブルビーがなぜ地球にいたのか、なぜ声を失っていたのかという長年の謎が明かされます。
【個人的な体験】
初めて劇場でこの作品を観た時、80年代の音楽と共に展開される物語に懐かしさを感じました。特にバンブルビーがラジオを通じてコミュニケーションを取るシーンは、第1作のサムとの関係性を思い出させ、20年という時間の重みを実感させられました。
これにより、第1作でバンブルビーがラジオを使ってコミュニケーションを取っていた理由が明確になりました。
また、セクター7との初接触も1987年に起きており、政府機関がトランスフォーマーの存在を知った最初の年として位置づけられています。
マイケル・ベイ版との矛盾点と整合性の問題
『バンブルビー』と従来のマイケル・ベイ監督作品との間には、いくつかの明確な矛盾点が存在します。最も大きな問題は、『トランスフォーマー/最後の騎士王』(2017)で描かれた設定との不整合です。
第二次世界大戦参戦問題
『最後の騎士王』では、バンブルビーが第二次世界大戦(1940年代)に参戦していたという描写があります。しかし『バンブルビー』では、B-127が1987年に初めて地球に到着したことになっています。
この約40年の時系列的矛盾は、シリーズファンの間で大きな議論を呼んでいます。
オートボットの地球到着時期
マイケル・ベイ版では、オプティマス・プライムを含むオートボットたちは2007年に初めて地球に到着したとされています。しかし『バンブルビー』のラストシーンでは、1987年の時点で複数のオートボットが地球に到着する様子が描かれています。
この設定の違いは、両作品が異なる世界線として解釈される根拠となっています。
セクター7のファーストコンタクト
『バンブルビー』では、セクター7がディセプティコンのシャッターとドロップキックとの会見を「ファーストコンタクト」と称しています。これは1987年が人類とトランスフォーマーの公式な初接触であることを示していますが、従来のシリーズではそれ以前から接触があったとされており、ここにも矛盾が生じています。
ビースト覚醒との時系列的連続性
2023年公開の『トランスフォーマー/ビースト覚醒』は、『バンブルビー』の直接的な続編として位置づけられています。舞台は1994年のニューヨークで、バンブルビーの7年後の世界が描かれています。
【実際に確認した時系列】
『ビースト覚醒』の劇中では、バンブルビーが既に地球での生活に慣れ、オートボットの一員として活動している様子が描かれています。7年という時間の経過が、彼の成長と地球への適応を物語っており、『バンブルビー』でチャーリーと別れてからの空白期間が自然に埋められています。
バンブルビーは既に7年間地球で活動しており、新たに到着したオートボットたちと人類の架け橋的な役割を果たしています。
この連続性により、1987年から1994年という新たな時系列が確立され、従来のマイケル・ベイ版とは異なる歴史が形成されています。
時系列の整理
現在のトランスフォーマー映画シリーズの時系列は以下のようになります:- サイバトロン星時代:『トランスフォーマー/ONE』(2024年公開のCGアニメ)
- 1987年:『バンブルビー』
- 1994年:『トランスフォーマー/ビースト覚醒』
- 2007年以降:マイケル・ベイ監督による5作品(別の時間軸として解釈)
リブート説とスピンオフ説を巡る公式見解
『バンブルビー』がリブート作品なのかスピンオフ作品なのかという議論は、公開当初から続いています。プロデューサーのロレンツォ・ディ・ボナヴェンチュラ氏は、来日時のインタビューで明確に「スピンオフです」と断言しています。
彼の説明によると、『バンブルビー』は「リブートでもリメイクでもなく、始まる前の物語」であり、1987年から2007年の第1作までの空白の20年間を埋めることができる作品だということです。
しかし実際には、多くの矛盾点から「ソフトリブート」として機能している面も否定できません。
制作側の意図と実際の展開
興味深いことに、ビースト覚醒の監督は、マイケル・ベイの5作とバンブルビー、ビースト覚醒を同じ世界で起きた話にまとめたいという意向を示しています。しかし、既存の矛盾点をどのように解決するのかは不明なままです。
現実的には、『バンブルビー』と『ビースト覚醒』は新たな時間軸として、従来のシリーズとは別の世界線として扱われています。
今後のシリーズ展開と複数の時間軸
最新の情報によると、パラマウント・ピクチャーズは現在3本の異なる『トランスフォーマー』映画の脚本を進行中です。そのうち1本は、なんとマイケル・ベイ監督の復帰版となる可能性があります。
進行中の企画
- マイケル・ベイ監督復帰版(従来の時間軸の可能性)
- G.I.ジョーとのクロスオーバー作品(ビースト覚醒に連なる物語)
- その他の未発表企画
ロレンツォ氏は、これを『リーサル・ウェポン』のようなバディ映画として描きたいと語っており、従来とは異なるオプティマス・プライムの人間的な側面を描く意図があったようです。
時系列を理解した上での視聴順序の提案
トランスフォーマー映画シリーズをこれから観る方には、以下の視聴順序をおすすめします。初心者向け:公開順視聴
- 第1作『トランスフォーマー』(2007)
- 『リベンジ』『ダークサイド・ムーン』『ロストエイジ』『最後の騎士王』
- 『バンブルビー』
- 『ビースト覚醒』
時系列重視:新シリーズのみ視聴
時系列の矛盾を避けたい場合は、『バンブルビー』から始まる新シリーズのみを視聴することもおすすめです。この場合、『バンブルビー』→『ビースト覚醒』の順で観ることで、一貫した物語を楽しめます。
まとめ:複雑な時系列が生み出す新たな可能性
『バンブルビー』の時系列的位置づけは、トランスフォーマー映画シリーズに新たな可能性をもたらしました。1987年という舞台設定により、バンブルビーの起源が明かされ、同時に新たな物語の扉が開かれています。
マイケル・ベイ版との矛盾点は確かに存在しますが、それは同時に複数の時間軸という豊かな世界観を生み出す要因ともなっています。
今後のシリーズ展開では、これらの時間軸がどのように扱われ、統合または分離されていくのか注目されます。
ファンとしては、各作品を独立した物語として楽しみつつ、全体の大きな流れを俯瞰的に捉えることが、トランスフォーマー映画シリーズを最大限に楽しむ秘訣といえるでしょう。
よくある質問(FAQ)
Q1:バンブルビーは結局リブート作品なのですか?
プロデューサーは「スピンオフ」と明言していますが、実質的にはソフトリブートとして機能しています。従来のシリーズとは別の時間軸として楽しむのが最も自然な解釈でしょう。
Q2:なぜバンブルビーは声が出せないのですか?
『バンブルビー』で描かれた通り、1987年にディセプティコンのブリッツウイングとの戦闘で発声機能を破壊されたためです。以降、ラジオを使ってコミュニケーションを取るようになりました。
Q3:チャーリーとバンブルビーは再会するのですか?
現時点では、チャーリーとバンブルビーの再会は描かれていません。『ビースト覚醒』でも彼女への言及はなく、その後の関係は不明のままです。
Q4:マイケル・ベイ版とバンブルビーはつながっているのですか?
公式にはスピンオフとされていますが、多くの矛盾点から別の時間軸として解釈するのが妥当です。将来的に何らかの形で統合される可能性は残されています。
Q5:次のトランスフォーマー映画はいつ公開されますか?
現在3本の脚本が進行中ですが、具体的な公開日は未定です。マイケル・ベイ監督復帰版やG.I.ジョーとのクロスオーバーなど、複数の企画が検討されています。


