
映画バンブルビーのサウンドトラックとは
2018年公開の映画『バンブルビー』は、トランスフォーマーシリーズの中でも特別な作品です。その大きな理由の一つが、1987年を舞台にした物語にぴったりと寄り添う音楽の数々にあります。
この映画のサウンドトラックは、80年代のポップミュージックを中心に構成され、ノスタルジックな雰囲気を演出しながら、物語の感情を豊かに表現しています。
主演のヘイリー・スタインフェルドが歌う主題歌「Back to Life」から、The SmithsやRick Astleyといった時代を代表するアーティストの楽曲まで、音楽が映画の重要な要素として機能しているのが特徴です。
この記事で学べること
- 映画のオリジナルスコアは、アカデミー賞受賞作曲家Dario Marianelliが担当し、トランスフォーマーシリーズで初めて別の作曲家が起用された
- バンブルビーは声を失ったため、ラジオから流れる音楽で感情を伝えるという設定が、楽曲選択の核心となっている
- 映画は1億200万〜1億3500万ドルの製作費で4億6800万ドルの興行収入を達成し、80年代音楽の使用が商業的成功に貢献した
- 主題歌「Back to Life」は撮影を通じてヘイリー・スタインフェルドが感じたインスピレーションから生まれ、2018年11月2日にリリースされた
- 「The Touch」など1986年のアニメ映画からの楽曲使用により、オリジナルファンとの感情的なつながりを構築している
80年代音楽が物語の核心を担う理由
映画『バンブルビー』において、80年代の音楽は単なる背景音楽ではありません。主人公チャーリーは音楽好きの少女という設定で、常にヘッドフォンをつけて過ごしています。
バンブルビーは戦いで発声回路を失ってしまうため、ラジオから流れる音楽を使ってコミュニケーションを取るという独創的な設定が採用されています。
この設定により、音楽は物語の重要な要素として機能し、バンブルビーの感情表現の手段となっているのです。
監督のトラヴィス・ナイトは、前作『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』でもDario Marianelliと協力しており、音楽表現に対する深い理解を持っています。
その経験が、バンブルビーでも活かされているといえるでしょう。
劇中で使用された主要な80年代楽曲
映画では数多くの80年代ヒット曲が効果的に使用されています。以下は、物語の中で特に印象的に使われた楽曲の一部です。
The Smithsの楽曲
チャーリーが朝起きて最初に流す曲は、The Smithsの「Bigmouth Strikes Again」です。この選曲は、彼女のオルタナティブな音楽の趣味と、当時の若者文化を表現しています。
また、「Girlfriend In A Coma」は映画の中で2回使用され、最初はバンブルビーがカセットテープを吐き出すコミカルなシーンで、後半ではバンブルビーがチャーリーへの思いを伝える感動的なシーンで使われています。
a-haの「Take On Me」
チャーリーがバンブルビーにラジカセを取り付けるシーンで流れるのが、この1985年の大ヒット曲です。シンセポップの代表曲として、映画『ラ・ラ・ランド』や『デッドプール2』でも使用された人気曲となっています。
Rick Astleyの「Never Gonna Give You Up」
この曲は映画のマーケティングでも話題になりました。最初の予告編で使用され、いわゆる「リックロール」というインターネット文化も相まって、SNSで大きな注目を集めました。
劇中では、チャーリーがカセットテープを入れ替えてバンブルビーに聞かせるシーンで、わずか数秒だけ流れます。
Steve Winwoodの「Higher Love」
バンブルビーを修理したチャーリーが家に帰るシーンで使用され、80年代ポップソウルの代表曲として、映画の感動的な瞬間を彩っています。「The Touch」の特別な意味
1986年のアニメーション映画『トランスフォーマー ザ・ムービー』の挿入歌として使われたこの曲は、オリジナルファンにとって特別な意味を持ちます。崖の上でチャーリーが海に飛び込むかどうか迷っているときに、バンブルビーがラジオを使ってこの曲をかけます。
シリーズの歴史とのつながりを感じさせる、感動的な演出となっています。
主題歌「Back to Life」の誕生秘話
映画のエンディングで流れる主題歌「Back to Life」は、主演のヘイリー・スタインフェルド自身が作詞作曲に参加した楽曲です。この曲は2018年11月2日にリリースされ、2日後の11月4日には2018 MTV Europe Music Awardsでライブパフォーマンスが披露されました。
ヘイリーは、撮影を通して感じたインスピレーションを元にこの曲を作り出したと語っています。
歌詞には「私たちの愛は十分で、時空を超越している」「あなたを元通りにしたいから」といった、映画のテーマである友情と再生を表現するフレーズが織り込まれています。
監督のトラヴィス・ナイトも、この曲に大満足していると公言しています。
作曲にはJorgen Odegard、Kennedi Lykken、Michael Pollack、Wayne Sermonらが参加し、現代的なエレクトロサウンドと感情的な歌詞が融合した「エレクトロキスアンセム」として評価されています。
Dario Marianelliによるオリジナルスコア
映画のオリジナルスコアを担当したのは、イタリア出身の作曲家Dario Marianelliです。彼は2008年に映画『つぐない』でアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞した実力派で、『プライドと偏見』『アンナ・カレーニナ』『ウィンストン・チャーチル ヒトラーから世界を救った男』など、数々の名作を手がけています。
バンブルビーはトランスフォーマーシリーズで初めて、Steve Jablonsky以外の作曲家が音楽を担当した作品となりました。
これは映画の方向性が、従来のアクション重視から、キャラクターの感情や人間ドラマに焦点を当てたものへと変化したことを象徴しています。
スコアの中心となるのは、チャーリーのテーマです。
デリケートなピアノとアコースティックギターの組み合わせが、彼女の孤独と喪失感を美しく表現しています。
このテーマは、「Meeting Bumblebee」や「Saying Goodbye」といったトラックの終盤で再び現れ、物語の感情的な核となっています。
ディセプティコン(敵キャラクター)を表現する音楽では、エレクトリックギターを基盤とした力強いサウンドが使用され、「Dropkick & Shatter Arrive」や「Desert Council」などのトラックで効果的に活用されています。
評価と反応
オリジナルスコアに対する評価は賛否が分かれています。Soundtrack Worldのレビューでは「映画のために良く実装されたアンダースコアの好例だが、単独で聴くアルバムとしてはチャーリーのテーマを除いて特別興味深いものではない」と評されています。
一方で、「映画の各シーンで呼び起こされる感情を高めるのに役立っている」という点では高く評価されており、映画音楽としての機能は十分に果たしていると言えるでしょう。
2021年5月18日には、La-La Land Recordsから2000枚限定のCDが発売され、コレクターズアイテムとして人気を集めています。
音楽がもたらした商業的成功
映画『バンブルビー』は、製作費1億200万〜1億3500万ドルに対し、世界興行収入4億6800万ドルを記録する商業的成功を収めました。前作『トランスフォーマー/最後の騎士王』の製作費2億1700万ドルと比較して大幅に予算が削減された中で、80年代音楽の効果的な使用が、映画の魅力を高める重要な要素となりました。
ノスタルジア・マーケティングの観点から見ると、この映画は80年代に青春時代を過ごした世代(現在のアラフォー、アラフィフ世代)に強く訴求しました。
同時に、若い世代にとっては新鮮な80年代文化の発見となり、世代を超えた幅広い層からの支持を得ることに成功しています。
サウンドトラックアルバムは、Republic Recordsから2018年12月21日に映画公開と同日にリリースされ、Apple MusicやSpotifyなどのストリーミングサービスでも配信されています。
よくある質問
映画バンブルビーのサウンドトラックにはどんな曲が含まれていますか?
サウンドトラックには、The Smiths、a-ha、Rick Astley、Steve Winwood、Bon Jovi、Duran Duran、Tears for Fearsなど、80年代を代表するアーティストの楽曲が多数含まれています。また、主演のヘイリー・スタインフェルドによる主題歌「Back to Life」も収録されています。
オリジナルスコアは別アルバムとして、Dario Marianelli作曲の楽曲が収録されています。
なぜバンブルビーは音楽でコミュニケーションを取るのですか?
物語の序盤で、バンブルビーはディセプティコンとの戦いで発声回路を破壊されてしまいます。声を失ったバンブルビーが、チャーリーとコミュニケーションを取る方法として、車に取り付けられたラジオから流れる音楽を使用するというアイデアが生まれました。
この設定は、トランスフォーマーシリーズの過去作品でも使われていた要素を発展させたものです。
主題歌「Back to Life」はどのようにして作られましたか?
主題歌「Back to Life」は、主演のヘイリー・スタインフェルド自身が作詞作曲に参加し、撮影を通じて感じたインスピレーションをもとに作り出されました。Jorgen Odegard、Kennedi Lykken、Michael Pollack、Wayne Sermonらと共同で制作され、2018年11月2日にリリースされました。
映画のエンディングクレジットで流れ、チャーリーとバンブルビーの友情のテーマを表現しています。
オリジナルスコアの作曲家はどんな人ですか?
オリジナルスコアを担当したDario Marianelliは、イタリア・ピサ出身の作曲家で、2008年に映画『つぐない』でアカデミー賞オリジナル作曲賞を受賞しています。監督のトラヴィス・ナイトとは、『KUBO/クボ 二本の弦の秘密』でも協力関係にありました。
彼はトランスフォーマーシリーズで初めて、Steve Jablonsky以外の作曲家として起用され、従来とは異なる感情的で繊細な音楽スタイルをもたらしました。
映画の音楽は商業的に成功しましたか?
映画『バンブルビー』は世界興行収入4億6800万ドルを記録し、商業的に成功しました。サウンドトラックアルバムとオリジナルスコアは、2018年12月21日に同時リリースされ、各種ストリーミングサービスで配信されています。
特に80年代音楽の使用が、幅広い世代からの支持を集める要因となり、ノスタルジア・マーケティングの成功例として評価されています。
2021年にはオリジナルスコアの限定版CDも発売され、コレクターズアイテムとして人気を集めました。


